2024年4月21日、日経新聞は、政府が北海道新幹線を2030年度末までに札幌まで延伸する計画を断念し、延期の協議に入ったと報じました。
この決定は、札幌市など延伸ルート沿いの自治体における不動産再開発や並行在来線をめぐる協議に影響を及ぼす可能性があります。
この延伸区間の開通は、倶知安駅の新幹線開通により東京へのアクセスが今よりもずっと容易になり、ニセコのさらなる資産価値上昇の重要な理由としてしばしば挙げられています。
当初は2031年春に開通する予定だった北海道新幹線の延伸区間は、現在のターミナルである新函館北斗駅と札幌駅を結び、途中に主要な停車駅を設けることを目的としています。
提供:日経新聞 (ペイシャンスリアルティにより翻訳 )
現在、在来線特急で約3時間半かかるこのルートは、新幹線が延伸されれば所要時間が1時間強に短縮される予定ですが、資材価格の高騰やトンネル掘削などの工事難航といった課題もあります。
国土交通省は2022年12月に、工事の遅れだけでなく延伸事業費が当初の見積もりから約4割増の約2兆3千億円に膨らむとの試算を発表しました。
延伸事業の一部はすでに最大4年遅れています。札幌の冬季オリンピック・パラリンピック招致が保留となったことで、札幌延伸を急ぐ必要性は薄れつつあります。
延伸開業の遅れは、札幌の不動産再開発に支障をきたす恐れがあります。JR北海道は新幹線の開業に合わせて札幌駅の再開発事業を進めています。
札幌駅再開発完成予想CG / JR北海道2022プレスリリースより
当初は2028年度までの完成を目指していたこの計画ですが、事業費の高騰などにより完成時期の延期を検討し始めました。ラピダスの半導体工場建設が本格化し、地域全体で建設労働者が不足していることから、賃金引き上げの圧力が強くなっています。
鉄道開通を遅らせることで工事スケジュールに余裕が生まれ、プロジェクト全体のコスト抑制につながる時間を稼ぐことができると期待されています。
出典:
日経新聞(2024年4月21日) (購読には課金が必要です)