パンデミック終息後、インフレは世界中で根強い問題となっており、日本の建設業界も例外ではありません。
特に日本では、人口減少により労働力が大幅に不足しています。企業は、残った労働者を惹きつけるために賃金を引き上げなければならず、インフレ圧力がさらに高まっています。
以下は、メディアが報じたインフレによるコスト超過により大規模開発の建設が遅れている最近の日本の事例3つです。
中野サンプラザ再開発、建設コスト上昇で延期
2024年10月11日、日経新聞は、東京の中野サンプラザの再開発が、予想建設コストが900億円上昇したため、野村不動産が他のパートナーとともに認可申請を取り下げたことで延期になったと報じました。
中野サンプラザのCGレンダリング。当初の完成レンダリングはコスト高騰のため見直しに
(レンダリング提供:開発事業者)
当初2639億円と試算されたこのプロジェクトは、この区画を商業、住宅、オフィススペースを備えた高さ262メートルの超高層ビルに変える計画でしたが、建設は予定の2024年度には着工されないことになりました。
中野区は11日の臨時議会でこの遅れを明らかにし、プロジェクトのコンセプトは変わらないものの、新たな計画が必要だと述べています。
区は未使用の建物の維持管理と固定資産税に毎月2800万円を費やしており、遅延によりコストが増加すると見込んでいます。
一部の議員は不満を表明し、プロジェクトが何度も見直しに直面していることから、財政負担の最小化を求め、開発業者の選定を見直すよう提案しました。
区は開発業者との交渉を続けているものの、新たなスケジュールはまだ確定していません。
札幌駅再開発、コスト高騰で延期
2024年10月16日、日経新聞は、JR北海道の綿貫康之社長が、資材費と人件費の高騰により、札幌駅再開発を縮小する可能性があると発表したと報じています。
当初2028年度に予定されていた高層ビルの開業は、最大2年延期される可能性があるものの、2030年の期限は今のところ変更されていません。
完成したプロジェクトのCGレンダリング ( 提供: JR北海道)
札幌市との共同プロジェクトであるこのプロジェクトには、ホテル、オフィス、商業スペースを備えた高さ245メートルの超高層ビルが含まれます。マリオットインターナショナルの高級ブランドが参加し、新しいバスターミナルも建設される予定です。
綿貫氏は、収益に影響を与える可能性のあるプロジェクト規模縮小のマイナス面を考慮する必要があると強調しました。当初2500億円と見積もられていた費用は、現在では増加すると見込まれています。同社は年度末までに修正計画を確定することを目指しています。
岡山市再開発事業、無期限延期
2024年8月、地元の日本メディアであるKSB瀬戸内海放送は、岡山市番山町第一地区市街地再開発の無期限延期について報道しました。
再開発が直面する困難に関するKBSのニュース
岡山市の再開発事業に関するニュースの主なポイント:
岡山市蕃山町地区の再開発事業は2020年に承認され、18階建ての複合ビルと、保育施設やオフィス施設を備えた6階建ての複合施設を特徴としています
当初2022年に着工し今月完成する予定だったこの事業は一時停止され、現在は一時的に駐車場として使用されています
遅延の原因は、来年2025年4月開催予定の大阪・関西万博の準備により悪化した労働力の確保の難しさと建設費の上昇です
再開発組合は、現在の状況ではプロジェクトを引き受ける意思のある請負業者はなく、費用見積もりはパンデミック前の予測を大幅に上回っていると報告しました
2021年11月以来3回の入札があったものの、合意には至りませんでした
組合は現在、コストの増加を含む計画を調整しており、来年度に着工することを目標としています
岡山市の他の5つの再開発プロジェクトも、コスト増加とスケジュール変更の影響を受けています
日本政策投資銀行の代表者は、建設コストの高騰が再開発プロジェクトに影響するというより広範な国家的問題を強調し、都市再活性化への潜在的な影響を警告しました
コスト上昇によりマンションの価格が上昇し、住民にとって手ごろな価格ではなくなると予想されています
専門家は、遅延と変更により市街地の活気が失われ、長期的な都市開発目標に影響を及ぼす可能性があると懸念を表明しました
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