野村不動産は2023年11月21日、東京都港区の「野村不動産溜池山王ビル」を報道陣に公開しました。
主なポイント:
建物の構造は鉄骨と木骨部分を一体化した構造となっており、鉄筋コンクリート造に比べてCO2排出量が削減され、床も耐火木質となっています。
オフィススペースは柔軟なレイアウトを提供し、木製の要素を利用してテナントの間仕切りの干渉と修復コストを最小限に抑えます。
エントランスには杉ルーバーと緑を取り入れ、天井には耐火木を使用したテナント専用ラウンジを併設しています。
完成前に建物全体がリース契約を締結しており、完成前からテナントの関心が高いことが浮き彫りになりました。
東京メトロ銀座線の溜池山王駅から徒歩4分、虎ノ門駅から徒歩6分に位置する野村不動産が手がけたビルは、鉄骨と木造を組み合わせた地上9階、地下1階建てです。
茶色は木造部分、薄い灰色は鉄骨部分、濃い灰色はコンクリート基礎を示します(提供:野村不動産)
延床面積は5,594.97平方メートルで、基準階面積は535.86平方メートルとなります。
この躯体に使用する木材は470立方メートルの木材を使用し、建設時に約125トンのCO2排出量を削減するとともに、使用した木材の成長段階で吸収した約285トンのCO2を固定化することになります。
2 階から 5 階に使用される木材は 2 時間の耐火性能を備え、6 階以上の階では 1 時間の耐火性能を備えています。 清水建設の独自技術と鉄骨の組み合わせにより、耐震性と施工性を確保しながら木質空間を実現します。
外観は木枠を露出させ、木格子部分に耐候性の高いクリア塗装を施しガラスケースで覆い、長期間の美観維持を実現しています。
提供:RE Port ニュース
オフィスフロアの内装は、鉄骨と木造のそれぞれの特徴を活かしたハイブリッド構造とし、21m×18m、梁下天井高2.6mの木造無柱によるオフィス空間を実現しました。
21m×18mの無柱オフィス室内空間を実現 /提供:野村不動産
天井や梁に構造用木材を組み込むことで、従来の鉄筋コンクリート造の内装に比べ、テナント間仕切り工事の干渉や賃貸契約満了時の修繕工事にかかる高額な費用を最小限に抑えることができます。
革新的な対策には、直交集成材(CLT)の表面の下に人工木材を埋め込み、木材自体を切断せずに間仕切りを可能にすることが含まれます。
さらに、床空調吹き出し口や簡単に着脱可能な照明の採用により、レイアウトの自由度が向上しました。
竣工前にビル全体で1テナントによる賃貸借契約を締結しており、環境配慮型の建物であることからテナント需要の高さがうかがえます。